母さんに持ってきてもらった紙とペンを手に取り、みちる宛の手紙を書くことにした。
手紙なんて小学生の時に書いたのが最後だから、書き方なんて忘れてしまった。
それでも、なんとか書き上げた手紙には…
子供の時に受けた手術が失敗していたこと、
あの時言った言葉は嘘だってこと、
幸せだったことを言葉にした。
できた手紙は母さんに渡した。
『4月1日、同じ高校の神咲みちるって子に渡してほしい』
4月1日は俺とみちるが付き合い始めた日。
俺にとっては特別な日だから、渡すならその日がいいと思ったんだ。
たぶんだけど…みちるは手紙を読んだら泣くだろう。
だから、もう一枚の小さな手紙を残すことにするよ。
それを見て笑ってくれますように。
小さな手紙にはそんな願いを込めた。