シャワーを浴びたらわからない、彼の匂いが私の脳を溶かすようだった。

爽やかな石鹸と、汗が混ざった匂い。

キスの合間に目があうと、理性に歯止めが効かなくなる。

一度覚えた深くて心地いい居場所を、時間が経っても覚えていてくれたらしい。

私の反応を楽しむように快感を与える彼を横目で見て、息が上がった。

一定のリズムと力で攻められると、あっけなく声にならない声を上げて私は果ててしまった。

「私ってそんなにわかりやすいかな…」

悔しいほどに欲しいものを与えてくれるのがなんとも悔しかった。

「そうかも。けど、それも含めて相性なんじゃない?」

いちいち余裕のある返しが、余計に私の体の奥深くを熱くさせる。

「ごめん、余裕ぶってるけど我慢できないや」

恥ずかしそうに笑ったと思ったら、真剣な目でこちらを見つめて、キスをするタイミングで体を重ねてきた。

続く快感に、いよいよ何も考えられなくなる。

前回よりも激しい腰使い、けど視線と髪を撫でる手の感覚は驚くほどに優しかった。

「あずさちゃん、」

そうもう一人の私の名前を呼ばれたあとに、彼が情けない声を上げた。

そのまま深く息を吐き、私の胸に顔を埋める。

前回も思ったけど、この時だけこの人は可愛くなるな。

改めて髪を撫でていると黒髪の中に白髪が混ざっていることに気づき、謎のときめきを覚えた。
私の知らない仕事や家庭で苦労や努力にときめいているのか、私の前で甘える姿にときめいているのかはわからないけど。

「それって癖なの?嫌いじゃないけど」

ゆっくりと体を離しながらはにかんでそう彼が呟いた。

「癖っていうか、無意識に体が動いてこうなりました」

ふふっと笑いを含みながら答えた。