僕たちを乗せた自転車は、速度を上げながら坂を下る。

 いつもの帰り道だけど、ここから見える景色はいつもとは少し違って見えた。

「大丈夫か晴海ー」

「うん大丈夫だよー」

 全ては真帆の気まぐれで二人乗りすることになった。

 僕は自転車に乗ってから、真帆の腰に腕を回したままだ。

 女の子と自転車の二人乗り。

しかも男の自分が後ろだなんて、最初は恥ずかしいと思った。

しかし自転車に乗ってからしばらくして、腕の上からかかる重圧にも慣れている。

恥ずかしいなんて気持ちは、もうどうでもよくなっていた。