「…和佳菜様!?帰らないってどういうことですか?」




翌日の昼。


あたしが目覚めたのは、マークの声でも、瑞樹の声でもなく。


「……え…?佐々木さん……?」


目ボケた顔で、ぼんやりとその人を見つめる。


そこにはあたしの部屋に初めて無断で入ってきた佐々木さんの姿があった。


この人、まだ関西にいるはずではないの?


何故ここに?


「和佳菜様?きちんと説明してください!」


「えっと…?佐々木さん、関西にいるのでは?」


きちんと説明していただきたいのはこちらの方でである。


「貴方のせいで無理を言って早く退院させてもらいましたよ!」


「あ、…それは、すみません…」


本当に!そう怒っている。


だけど反応が追いつかない、パニックになっている自覚がきちんとあった。


「今朝坊っちゃんから和佳菜様がマーク様のもとに帰らないと連絡が入って」


それでか、とやっと合点がいった。


何も知らない佐々木さんがどう知ったのかまで考える余裕はあたしにはなかった。


「…ええ、帰らないけど」


「私達が何故貴方を匿っていたのか、初めの理由を覚えていますか?」


「…あたしを、マークの元に帰す為」


「それだけではありません」



「他に目的なんて…」



「貴女に健康になっていただく為です」