「なんか、いつもと様子が違う……？」

「そうだね……なんだろう……」

二人で立ち止まり戸惑っていると勇菜のスマホが着信を告げた。
取り出して画面を見てみると堀原からで、急な仕事でも入ったのかと思いながら出てみると電話の向こう側からけたたましい電話の音が聞こえたきた。

『勇菜、今誰とどこにいる？』

「え？今は隆君と映画館近くの大通りに……」

『周囲の様子は？』

「なんかいつもと違ってるみたいです。
内緒話してたりチラチラこっちを見るわりには話しかけたりしてこないし……」

『想像以上に早く情報が出回ってるな……』

そう小声で呟いた堀原の声の向こうでは未だに電話の鳴る音と、担当者が不在ですので。や、お答え致しかねます。や、プライベートなことなので。と話す事務所の人達の声が聞こえてきた。

「堀原さん、もしかして何かありました？」

『……詳しくは後で説明する。
勇菜は一ノ瀬隆矢と一緒に朝陽君の所に行ってくれ』

「朝陽君の所？
真未さんのお店に行ったらいいの？」

『そうだ。
俺もすぐ行くし、陽人とKaiser、陽菜も呼ぶ』

言われたその面々に勇菜は開いた驚きを隠せなかった。
これはもしや、良くないことが起こっているのではないかと心配そうにこちらを見つめている隆矢を見上げながらそう思った。