「初めまして、勇菜さんと交際させていただいてる俳優の一ノ瀬隆矢です」

「うん、よろしく。
俺は秋村朝陽、Shineのプロデューサーね」

「あ、あの写真の……」

「そ、草野美佐に隠し撮りされた浮気相手のプロデューサー」

にこにこと笑っている朝陽の頭に真未は持っていたメニューをポンッと軽く乗せて冷たい眼差しで見下ろしていた。

「何妻の前で浮気宣言してるのよ。
言っとくけど勇菜ちゃんに手を出したら許さないわよ？」

「出すわけないでしょ、実の姪に。
それに俺には愛する真未がいるし？」

「っ……だから人前でそう言うことを言わないでって昔から……っ！」

怒りか照れか、恐らく後者の理由で顔を真っ赤にしている真未は持っていたメニューで朝陽を叩きだす。
対する朝陽はそんな真未を目を細めて、可愛くて仕方がないと言った様子であえて避けずに攻撃を受けていた。

「……姪？
え、もしかしてプロデューサーって叔父さん？」

「うん、遊園地でデートしたときに言ってたコーヒーカップ回しすぎて怒られた叔父さん。
会いたいって言ってくれてたから、紹介できて良かった」

唖然とした様子で未だにじゃれあってるように見える真未と朝陽に視線を向けた隆矢は、勇菜の周りの人はすごいな……。と呟いた。