「隆矢、お前って案外ヘタレだったんだな。
抱きつかれただけでそんなに照れるなって」

「ほ、ほっといてください……」

久々に会ったんだから照れも緊張もするでしょう!と言うと周りの先輩俳優達は、ピュアだな……。うん、ピュアだな……。と囁きあっていた。

「隆君、すごくドキドキしてる」

「っ……ユウナ、恥ずかしいからそういうこと言わないで……」

「私もね、同じくらいドキドキしてるんだよ」

一緒だね。と微笑むとさらに顔を赤くして顔を背けられた。
近くの先輩俳優達が、俺、甘すぎて砂糖吐きそう……。うん、俺も……。と苦笑いしていた。

隆矢に抱きついて今まで会えなかった分の寂しさを充電してから離れると、隆矢はまだ赤い顔のまま眉を下げて微笑んだ。

「連絡とれなくてごめん。
役作りのために……」

「うん、ハルトから聞いた。
たくさん泣いちゃった後だったけど」

「え……俺もっと早く伝言頼んだのに」

「曲作りのためにわざと教えなかったんだって」

酷いよねー。と言うと隆矢は、ごめん。と謝った。
監督の指示が出た瞬間に勇菜への連絡も禁止されてしまい、伝言を頼めるのが陽人しかいなかったらしい。
申し訳なさそうにする隆矢の手を握り、大丈夫だよ。と微笑んだ。