「桃のことが大切だからこそ、待ってほしいとも夢に付き合ってほしいとも言えなかった。俺、臆病になってたんだ。自信もなかった。時間がほしかった。」
司は桃の涙を大きな手でぬぐう。

桃が目を開けると司がまっすぐな視線を桃に送っていた。

「もう少し待ってほしい。もう少しで夢が形になりそうなんだ。それを見てほしい。」

桃には司の想いがちゃんと届いている。

「分かった…でも今は…」
「今だけは休憩しよ。桃も離れてからがむしゃらに頑張ってきたんだろ?頑張りすぎてるんだよ。一回休憩。」
司が久しぶりに顔をくしゃっとして笑う。

桃は頷きながら司に両手を伸ばし司はそんな桃を優しく抱き締めた。