「でも桃が大切な気持ちと同じくらい大切な俺には夢があって、はじめは夢を諦めようと思った。そのくらい桃が大切だったんだ。手放したくなかった。」
初めて桃に司は夢の話をしてくれた。

「桃が俺のしまい込もうとした夢に気づいてくれて、いろんな想いで俺の背中を押してくれたからこそ今、夢が叶いそうなんだ。全部桃の想いは届いてた。伝わってたんだ。桃の想いにこたえられるように、こんな歳だけど必死にがむしゃらに頑張った。」
よかった…届いてた。桃は目を閉じて司にもたれかかった。

「ありがとう。桃のおかげで自分がなんのために必死に仕事してきたか、なんのために今までがんばってきたか、思い出せた。その努力を無駄にしないで自分自身を肯定できた。」
司は自分にもたれ掛かる桃の頭を撫でる。