桃はいつの間にか子供のように司の胸のなかで眠ってしまった。

極限状態で張りつめていたものがプツリと切れて睡魔に襲われた桃は司の胸のなかで目を閉じた。

司は桃を抱き上げると自分の車に運んだ。

眠りやすいように助手席の椅子を倒し上着をかける。

以前より痩せて泣き張らした目の桃の頬を撫でた。まだ頬も冷たい。

暖房を強めると司は車を走らせた。