一階と二階を数回行き来しながら念入りに部屋の掃除をしていたとき、インターホンが鳴る。この時点で俺の心臓はいつもドキドキバクバクしてる。
コンコンとドアをノックする音が聞こえてきて、思わずベッドにダイブした。
「こ、こんばんは…」
「遅い」
「ごめんなさい…お掃除してたらこんな時間になってしまって…」
「ふーん…」
美影の一生懸命なところが好き。
両親の負担を減らしたいという優しさも、手を抜かない真面目さも好きだ。
「…お疲れ」
「え…?」
「あんま無理すんなよ」
「は、はい…ありがとうございます」
珍しく優しい言葉を掛けたのは、ただの気まぐれ。
たまには優しくするのも悪くないと思っただけで、決して母に言われたことを気にしているからではない。絶対に違うから。
「えっと、これ…作ってきました」
「ん」
ベッドに転がってる俺に美影が差し出したのは綺麗にラップが掛けられた皿。そこには購買のより何倍も美味しそうなたまごサンドが乗っている。
冷静な顔してる俺だけど、心の中ではワッショイワッショイとお祭り騒ぎだ。