俺達は所謂幼馴染というやつだ。

物心ついた頃から一緒にいるのに美影は未だに敬語が抜けないし、いつまでもビクビクした態度で接してくる。そこがまた可愛い。

全然縮まらない距離がもどかしくもあり、楽しくもある今日この頃。



「あーあ。みーちゃん今日もパシリかぁ…可哀想に」

「おいこら。何がみーちゃんだ。潰すぞクソ野郎」

「どっちがクソだよ。可愛い子をパシリに使う真白のがよっぽどだろ」



ある日の昼休み。

いつものように美影をパシって教室で帰りを待っていると、前の席の佐々木がふざけた事を抜かす。

美影を可愛いなんて言う男は許すまじ、と俺の額には怒りマークが現れた。



「うるせぇ。俺は幼馴染だから特別なんだよ」

「ズルイ。ズルすぎる」



美影は俺達が幼馴染だというのを隠したいらしいけど、そんなの知ったこっちゃないんだよ。

言いふらして周りに知っといてもらわなきゃ、他の男に取られちまう。

だから俺は言う。誰彼構わずアピールしてる。

もちろん美影には内緒で。