あいにく視力はとても良いし、オシャレ用の眼鏡は無駄な気がするし、両親にねだるのも申し訳なくて現状維持なのですが…
だからこそ、何もしなくても綺麗な白咲くんが羨ましく思えるのでしょうか。
「スー…」
暫くするとスピスピ聞こえてきた寝息。
白咲くんの寝顔は…とっても可愛いです。
私なんかが言うのは烏滸がましいですが、本当に本当に可愛いのです。
ふわふわで甘い匂いがして真っ白で…例えるなら綿菓子みたい。寝ている時の白咲くんは黒い部分が抜けて完全な白になるのです。
「…美影…」
「え?…っひゃ!」
白咲くんは何か夢でも見ているのでしょうか。
突然、隣で横たわる私をギュッと抱きしめました。
私は身動きも取れず、ドッ、ドッ、と波打つ自分の鼓動を聞いていることしかできません。
ど、ど、どうしましょう…、と正にパニック。
今の私にできることは、多分一つしかないと思います。
寝て、やり過ごすことしか…
ギューーーーッと固く目を瞑り、寝ようと必死になっている内に少しずつ眠くなってきました。
「あー…やば。かわい」
白咲くんの腕の中で眠りに就いた頃、聞こえてきた声に、私は当然気付きませんでした。
もちろん、これが全部白咲くんの思惑通りで狸寝入りだったことも知る由もありません。
隣の白咲くんは…兎にも角にも真っ黒な人なのです。