人は、
どうして死ぬことが怖いのか。

どうして生きていたいと思うのか。

それはきっと、
大切な何かがあるからだ。

家族でも
友達でも
恋人でも

未来の自分でも。

少しでも希望があり、
少しでも期待するものがあれば、

生きていなくては。
辛くても、悲しくても、怖くても。

そう思うんだろう。

12月の
歌舞伎町のビルの屋上。

身体が震えているのは、
怖いからじゃない。
足掻いてるからじゃない。

寒いのだ。

冬は寒くて痛い。

今日は、
風が強い。

冷たくて刺すような風が

あたしの身体を容赦なく通り過ぎる。

後悔なんてない。
やり残した事も、
想いも、
何ひとつない。