佐野先輩は私に負けたのがムカついたのか、それとも喉がかわいたのか…
水道の方に行って水を飲んでいた。
それから、2人は目の前に現れず体育館から姿を消したのだ。
「おっはよ!」
声がしたのは芽衣だ。
「はよ」
少し元気なさそうに答えてしまった私に芽衣は、のぞきこむように聞いてきた。
「何かあったでしょ?また石栗の事?」
「違う!!」
でも芽衣の言ってた事は正直当たってるような気がする。
私のせいで部室あの2人戻っちゃったのかな?
まっ!!
いっか!!
切り替えが早い私は、ついさっきの事が無かったように元気を取り戻した。
「んで石栗の事は?」
「あっそっか。忘れてた。でね…進とは―――――――――――――――――――――――――」
長い長い話が終わり、芽衣はそっと言ってくれた。
「次はうちにも相談してね。」
この言葉でほっとするんだ。
私の気持ちはほんのり楽になったような気がした。
「でも絶対に石栗、七海の事好きだって!」
「ないない」
芽衣の言葉を半信半疑で聞きながら、でも少し信じる気持ちも持ちたかった。
進が少しでも私を好きって言ってくれるように、私はがんばるから。