「す、少しだけなら……いいよ」


ほんとはわたしも依生くんに触れたい……なんてことは口が裂けても言えない。



***



「ごちそうさまでした」


ゆっくり食べていたら休み時間が残りわずかになってしまった。


「あっ、えっと遅くなってごめんね」


「……ほんと待ちくたびれた。
早く抱きしめさせて」



「じゃ、じゃあ…どうぞ……っ」


控えめに両腕を広げてみると。


「……なにそれ。
可愛すぎて離したくなくなる」


なんて言いながら、ギュウッと優しく抱きしめてくれる。


ドキドキするけど、依生くんの温もりに包まれると心地いい。



「だ、誰か来たりしない……かな」


ふと、今ここで保健室を利用する人が来たらまずいんじゃないかってことが浮かぶ。


「……さあ。
来てもいーじゃん、見せつけとけば」


「でも……」


「僕と2人でいるのに他に意識が向くなんて
ずいぶん余裕だね」


「へ……?」