「ダメだなあ。
この問題は公式使わなくても解けるのに」


「なっ!わかるなら聞かないでよ!」


そうだ、忘れちゃいけない。

葉月くんは学年トップの成績取ってるんだから、わからない問題なんてそもそもそんなにあるわけない。


「ふっ、ごめんごめん。
怒らないで、ね?」



笑いながら、わたしとの距離を少し詰めるように身体を寄せてきて、むにっと頬をつまんでくる。


「いひゃいよ。ひゃめて」


「かわいいなあ、ほんとに」


「ひゃなひて!!」


「仕方ないなあ」


すぐふざけたりするから課題のプリントがなかなか進まない。


「ちゃんとやってくれないとわたしが怒られちゃうんだから」


「じゃあ応援してよー。
そしたらがんばるからさー」


贅沢者め…!


「がんばって葉月くん」


「しけてるなあ。
そこはキスくらいサービスでしてよ」


「しません!」