「もう……じゃあちゃんと今日の課題のプリントやってください」
「はーい」
こうしてやっとスタートした。
葉月くんがプリントをやっている間、1年生の教科書を復習がてらパラパラとめくり目を通す。
1年生の勉強ならなんとか見てあげられると思ったけど、ページをめくるたびにゾッとした。
……見事に忘れてる。
というか、こんなのやったっけ?って気分。
「ねー、先輩。この問題教えて」
そう言われて見せられた数学の問題。
記憶の片隅に眠る数学の知識を呼び起そうとしても、なかなかピンとこない。
「ここは……うーーん、たぶんこの公式使うとか?」
「大雑把すぎ。
先輩よく進級できたね。ってか、よくこの高校受験して受かったよね」
「や……だって、数学苦手科目だし」
「なんで。1年前やったのに?」
「もうそんなの忘れてるよ…」