店員
 「ありがとうございましたー。」




 買い物を終えて店から出てきたのは……椿だった。二人は目が合い、その場に立ち尽くす。そして先に愛が口を開いた。





「……傷、大丈夫だったってね。」



椿
「……誰情報よ。」




「まだ……痛むの?」



椿
「……ちょこっと。」




 メグミは椿に言わなければならない三文字が中々言えずにいた。




椿
「……ごめん。」




「…………!」




 先にその言葉を口にしたのは、椿だった。





「………何であんたが謝んのよ。」



椿
「私も悪かったと思ったから……。普通に言い過ぎたし、ブスとか別に思ってないよ。」




「……あんた、ムカつかないの?あたし鏡であんたのこと殴ったんだよ?!」



椿
「いや……もういい、なんか面倒くさいから。」




 頭をポリポリと掻きながら面倒臭そうにそう言った椿を見て、愛はクスリと笑った。





「……あんたさ、変わってるよね。」



椿
「うん、よく言われる。」




 二人はクスクスと笑い出した。くだらない事で人を傷つけてしまった事を……愛はこの時、本気で後悔した。
自分と椿の器の大きさの違いをはっきりと思い知らされ、そして何よりも、こんな自分を許してくれた事が本当に嬉しかった。
もう流しきったと思っていた涙がまた溢れてきて、次々と頬を伝った。
椿はそんな彼女を、何も言わず、何も聞かずに見つめていた。まるで雛を見守る母鳥のように……。