閉めたばかりのドアを再び開け、家の中に戻る。この二人だけの秘密の場所に……


   


「……居るのはいつだってアタシ一人……。」




 手鏡に写る今の自分の姿は、とても幸せそうには見えなかった。愛は洗面所へ行き、顔を洗い……キレイな自分を消した。
そして洗面台の鏡に写っているのは……いつもの自分らしい自分。





「……おかえり、アタシ。」




 泣くだけ泣いて、何かがふっ切れたように愛は財布を持ち、玄関のドアを開けた。





「飲み物でも買いに行こう……このまま一人でここにいたら、気がおかしくなりそうだから……。」




 愛は少し歩きたくて、行きつけのコンビニよりも一駅先にあるコンビニへと行くことにした。




愛 
「あぁ、外の空気はこんなにも冷たくて気持ちいい……。」




 自分以外のみんなが敵に見えた……。誰も信じられなかった。





「もう、誰も……。どこにもアタシの味方なんていない。それでもいい、嫌われることには慣れているから。」