でも、そのお蔭であたしは自分で1つの答えを導き出す事ができた。


「あたしのスマホに入ってるアプリを消して欲しいの」


勢いよくそう言った。


一気に言ってしまわないと、言葉が出て来なくなると思った。


「え?」


「お願い!」


そう言って、美世の手に自分のスマホを握らせた。


「……いいの?」


美世は視線を泳がせてそう言った。


入院中、美世の頬を叩いてしまったことが思い出された。


もう二度と、あんなことはしない。


「うん。そのスマホを持って、トイレの個室に入って消して? そうすれば、あたしは美世に手出しできない」


アプリが消えてしまう。


そう思うだけで全身に嫌な汗が噴き出してきて、死にたいとすら考えている自分がいる。


それでも、そんな自分を押し込めないといけなかった。


「わかった。麗衣がそこまで言うなら、協力する」


美世はそう言い、あたしのスマホを持ってトイレへと向かったのだった。