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気が付けばA組のほとんどの生徒があたしと同じ状態になっていた。


休憩時間になにをすればいいのか。


次の授業でなにをすればいいのか。


友人とのなにを話せばいいのか。


自分で考えられていたこと、すべてをアプリに質問していくクラスメートたち。


その目はどれも淀んでいるように見えた。


このクラスの中で正常なのは、沙月と昌一と美世の3人しかいない。


「ねぇ、美世」


休憩時間になり、あたしは美世の机へと急いだ。


昨日沙月に言われた事を思い出すと、昌一とあたしの距離は随分と離れてしまっているように感じられた。


それを、どうにか縮めたかった。


このままじゃ昌一を沙月に取られてしまうのも時間の問題だ。


「どうしたの? 目の下真っ黒だよ?」


美世が驚いた声を上げた。


どうにか自分の力で考えようと頑張ったら、普通の何倍もの体力を消耗してしまったのだ。