「あたしはアプリを辞めるように忠告したのに、麗衣はやめなかった。だから今こんな風になってる。昌一にはそう伝えてあるよ?」


沙月の笑顔に血が上って行くのを感じる。


でも、ここで怒ったりしたらきっと沙月の思うツボだ。


これ以上沙月の好きにはさせない!


でも……どうすればいいのかわからなかった。


昌一の誤解を解くとか、どうにかしてアプリを消すとか。


頭では理解しているはずなのに、考えることができないのだ。


まるで脳にモヤがかかっているかのような感覚だ。


「アプリを使って対処法を聞こうよ」


そう言ったのは佑里香だった。


そうだ、アプリに聞けばいいんだ!


「あははは! ここまで知ったのにまだアプリに頼らないといけないなんて、可愛そうな子!」


沙月の笑い声が聞こえてきて、あたしは下唇を噛んだ。


「あんたたち、もう晩ご飯も自分じゃ決められなくなってるんでしょ? 手遅れだよ」


沙月はそう言い、あたしたち3人を残して校舎を出たのだった。