一瞬、時間が止まった気がした。


「え……?」


もう1度、同じ言葉を口にしていた。


それしか出てこなかったのだ。


「もしかして気が付いてないの? あんなにわかりやすいのに?」


そう言って人を小ばかにしたように笑う沙月。


昌一があたしのことを好き……?


そんな風に考えたことは今まで1度もなかった。


「麗衣をアプリ漬けにして、昌一が幻滅するように仕向けたの」


その言葉を聞いて、昌一が言っていた事がすべて理解できた気がした。


「どうしてそんなことするの!?」


佑里香が言う。


「さっき言ったじゃん。昌一が麗衣のことしか見てないからだって」


「それだけのことで……?」


あたしの声が怒りで震えた。


あたしはようやく昌一へ対する気持ちに気が付いて、努力していたところだったのに。


沙月は今までもずっと、昌一に良い顔をしていたのだろう。