「もう1つ、聞きたいことがある」


どうしてもわからなかったことがあった。


どうして、沙月は……。


「なに?」


首を傾げてそう聞いてくる沙月は白百合のように綺麗だった。


風が吹き抜けていくと、艶やかで柔らかな髪がなびく。


「どうして昌一には危険なアプリだと教えたの?」


「あぁ、それはね……」


沙月が、花を咲かせるような笑顔になった。


こんな時なのに、その笑顔に見とれてしまいそうになる。


「昌一は、あたしを見ていなかったから」


「え……?」


「他の男子生徒たちはみんなあたしを見ているのに、昌一だけは……麗衣、あんたを見てたから」