目には見えず、認識もできない。


けれど時々現れる写真は潜在意識の中へ刷り込まれて行く。


例えば写真の中に『赤いバラは白い』と支離滅裂なことが書かれていたとしたら、あたしたちの目には赤いバラが白く見えるようになる。


「洗脳だよ」


沙月がフフッと笑い声を上げて答えた。


「洗脳されてアプリの言う事を忠実に聞く犬になる」


「それ……あたしたちに教える前から全部知ってたんだよね?」


そう聞く声が震えていた。


どうして沙月がそんなことをしたのかわからず、恐怖心が湧き上がって来た。


「そうだよ? だからクラス中にバラまいたんだから」


沙月はさも当然だというように言い切った。


絶望感が足の先から這い上がって来るのを感じる。