「……ありがとう。じゃあごめん、引き止めて……」 「……」 ドアを開けようとする渚くんに私は泣きそうになる。 たったそれだけ? もっと私に言うことはないの? 私はずっと苦しい思いをして渚くんを忘れようとしていたのにこうやって再会して……気持ちがついていかない。 「……渚くん」 「ん?」 「渚くんは、もう私のこと何も思ってない?」 「……え」 私がそう言うと渚くんは驚いた顔をした。