その後、僕たちは朝食をとるために学食に移動した。

「………」

光介は何か言いたそうにみんなを見ていた。

「何か言いたそうだね、光介。」

しかたないので聞いてみた。

「よくぞ聞いてくれた。てめぇら、一応俺は先輩だぞ。少しはいたわりやがれ。」

光介が、さも自分が被害者のような口ぶりで話していた。

「何がいたわれだ!そもそもの元凶はお前だろうが!」

俊治が当然のつっこみをする。

「まったくだ。ふざけるにもほどがあるだろうが!」

秀明にまで言われていた。

犬猿の仲のこの2人が手を組むと、なんか妙な威圧感があるなぁ。

「そうだよ光介。今回はちょっとやりすぎ。」

僕も2人に同意する。

「軽い冗談だろうが。それくらい軽く流せる広い心を持ちやがれ!」

光介は開き直っていた。さすがと言うか、ものすごく大人気なかった。

「まったく、こいつは…」

俊治があきれながらそう言った。もう怒る気も失せたようだ。

「時々自分が正しいはずなのに、こいつが正しいように思えてくるぜ…」

秀明にまであきれられていた。俊治はともかく、秀明にまであきれられるとちょっとかわいそうだ。

「ほらほら、その話はそれくらいにして早くご飯食べようよ。時間もあんまりないし。」

僕はその場をまとめるようにそう言った。実際に朝の事件のせいであまり時間がなかった。

「まぁ、亮が言うならそうすっか。」

秀明が同意してくれた。

「ああ、そうしよう。」

俊治がそれに答えて言った。

僕たちは自分の食事を注文すると、いつもの席に向かった。そこには、待ち焦がれたかのように加奈が座っていた。

「ずいぶんと遅かったんだな?」