「皆さん。注目! 私が、今日から二年一組の担任をする。『鈴木織恵(すずきおりえ)』です。」

「「ザワザワ」」

教室中に驚きの声が上がる。
鈴木先生は、とても優しい先生で有名だ。

「私は学級担任ですが、社会の授業も担当しています。これからよろしくね!」

「社会だって。私、社会嫌いなんだよね。」

唯香が私に話しかけた。

「そう? 私は社会好きだけど。地理とかも含めてね。」

唯香は困惑の表情をさせながら、相槌を打った。
私は国語と社会が好きである。それは、小学生の頃から変わらない。
国語の中でも得意なジャンルとしては、物語文である。
読み書きは得意だが、説明文の解釈は苦手である。

「いいよねえ。私は理数系だからさ。」

私は、数学は良くても、理科は苦手だ。
そもそも実験が余り好きになれない。
数学はというと、塾に行っているお陰か、割と簡単なのだ。

「静かに、静かに! 今日は、全員自己紹介をして解散します。」

自己紹介、と言われましても……
学区の狭さの所為で、殆どが同小という悲劇である。

「いいじゃん。出席番号が番号だから、奏君と近くの席だし。」

これは幸運と言うべきか。唯香は私の後ろの席。奏は隣の席である。
さっきから、心臓がバクンバクン言って止まらないのは、このせいだ……

「―――――――――。―――、――――――。」

順番に自己紹介をしていく。次は奏の番だ!

「えーと。藤田奏です。好きなスポーツは……サッカーです。」

やや緊張気味である。そこが可愛くて、時に格好いいんだけどね。
……えと、次は私か。

「松山莉子です。趣味は手芸です。よろしくお願いします!」

そして、次は唯香。

「宮川唯香です。趣味は描画で、美術が得意です。よろしくお願いします。」

あれ。さっき理数系って言っていたような。
でも、実際絵は上手だし。美術部だったし。当たり前か。