それなのに。
こんなに、苦しいのは。こんなに、痛いのは。
みーくんが、優しすぎるからで。みーくんが、好きすぎるからで。
「先輩」
走りながら口にして、やっぱり違うなと思った。
「みーくん」
さっきよりも、声が弱い。空気に、溶けちゃいそう。
「……っ、みーくんっ!」
大声。届け。届け。
声にのって、想いも伝わってしまえば、楽だろう。でも。
楽をして、逃げたくない。
真っ正面からぶつかって、砕けてしまう方が、みーくんの目に映るかもしれない。
砕けることなく、みーくんに包み込んでもらえて、ぶつかった衝撃による怪我もなかったら……それが1番いいけれど。