……なーんて、無理だ。知ってる。気づいてる。
私みたいな、いろんなひとに「明るい性格だね」とか「すぐ表情にでてて可愛い」とか言われる人間は、そんなの、無理。
もちろん、褒めてもらっているというのはわかっている。
だけど、どんなに頑張っても、結局はただの見栄や知ったかぶりになるように……大人に近づくことはできない。
そして、それと一緒で、先輩に近づくことも、できない。
「先輩」
小さく、つぶやく。小さな、反抗心。
「私、先に行ってますね」
みーくんの手が、私の腕に伸びてくる。
気づいたうえで、走りだす。
触れないで。壊れてしまうから。
せき止めてくれていた、心にある壁が壊れて。全部が、流れ出しそうだから。
我慢しているのは、私。私が勝手にやっているだけ。