藤弓中学、2年生。高橋莉音。
大親友の晴田汐莉と、よく、お昼ご飯を食べている。
今日は、汐莉が風邪で休み。そんな日に限って……先輩が、私のクラスに来るなんて。
汐莉がいるときは、まわりの女子たちの怒りから守ってもらっている。ちょっと頼りすぎだよね。汐莉がいいって言ってくれてるから……任せすぎた。
「先輩」
動揺。なんで急に来たの。
「用件は」
「ん?莉音に会いに来た」
……なんだそりゃ。
「先輩、お帰りください」
にっこりと笑って追い返すと、「礼儀は」と小さく言われてしまった。
「そんなの、知らない。べつにいいでしょ!」
よくない、よくない。
みーくんに、嫌な奴って思われたくないのに、こんなこと言っちゃう。
偽りの気持ちを述べたら、ドキドキして、胸がちくりといたんだ。
耳に向かって手が伸びて、そのまま耳をかく。
かり、と音が響き、少し痛みがはしった。