“みーくん”
呼べば、振り向いてくれて。まっすぐ私をみつめてきて。たまに首をかしげて私が話すのを急かして。
そんなみーくんが、多分、大好きだ。
幼なじみだから、自然と距離が近くなって。
幼なじみだから、他の人よりもたくさん過ごせて。
それなのに、上手く想いを伝えられないのは……“みーくん”には、“先輩”という名前もついているからで。
「先輩」
他人行儀に呼んでみても、返事はしてくれないし。
「先輩」
距離をおくために体に触れずに呼んでみても、振り向いてはくれないし。
こんなんじゃ、私の気持ちに振り向いてくれる日なんてくるわけない。
そう思いつつ、そっと“みーくん”と肩を並べて、一緒に帰る。
気づいて。気づかないで。
願うこの気持ちでさえも、私よりも大人な“先輩”には、バレているんだろうな。