「彰人は、親父の事を恨んでない。
ましてや、お袋には申し訳ないとさえ思ってる。
だから…………旧姓に戻し『笹山』を名乗ってるんだ。
会社を継ぎたいとか
乗っ取ろうなんて考えてない。
今回の事は………
俺の協力がしたいからだと言ってる。
会社は………
長男の兄貴に継いで欲しいと、俺も彰人も思ってる。
兄弟として、助けられることがあるなら手伝うけど……
俺達は、いずれまた………自分達の店に帰りたいと思って
今は、後輩に任せてる。
親父が少しでも、彰人に申し訳ないと思うなら
彰人自身を見て………
一人の男としてで良いから………認めてやって欲しい。
その為に俺は帰ってきたから。」

ホントは、咲の事もあるが………

今はまだ、話す時じゃない。

「……………………………分かった。
だが………。
母さんだけは、刺激しないでくれ。
俺のしたことで………
これ以上傷つけたくないんだ。
彰人にも申し訳ない気持ちはあるが………
母さんには………もっとだから。」

勝手な言い分に腹も立つが

彰人が許してる以上、俺に文句は言えない。

「会社では、俺も彰人も平社員だから……
話すこともないと思うけど………
少しは、目にかけてやって。」