「あぁ!!
また三人でつるんでる。
圭ちゃん、笹兄………じゃなくて彰人兄!
最後の日まで、精一杯お仕事しないと!
洋ちゃん
彩先生が『またお店をほっぽらかして!』って怒ってたよ。
大丈夫??」

咲の言葉に

「やべえ!!」と飛んで帰る洋介。

何処も女の子が強いらしい。

「そうだ。
今日ねぇ、圭ちゃんのお母さんが来られたよ。」

アイツ…………。

「咲、なんかされなかったか?」

「それがねぇ~
不思議なんだけど…………。
私じゃなくて、夏苗先生に用事があったみたいなの。」

「咲じゃなくて…………
夏苗ちゃん??」

「おかしいでしょう?
先生に聞いても『大したことじゃない』って言われるし。
圭ちゃん、心当たりない??」

「……………………いや。」

たしかに妙だ。

まさか、周りから攻めていくつもりか??

「気になるなら調べようか?」

彰人の申し出は、ありがたいが

これ以上首を突っ込ませてバレでもしたら

お袋の心証が悪くなる。

彰人の事を認めさせたいと思っているのに

本末転倒だ。

「俺が調べるから、彰人は動くなよ。
咲、変わったこと…………
いや、変わったことがなくても
色々話してくれ。
咲の気づかないところに
ヒントが隠れてる可能性もあるから。」

「うん、分かった。
ところで圭ちゃん、今日の夕ごはんは??
今まで話してたなら、何もない?」

しまった!!

話に霧中になって、忘れてた。

「圭兄が咲の事を忘れるなんて、珍しいよな。
咲、ほっぽらかされたら俺のところに来いよ。
いつでも面倒見てやるから。」

冗談とも本気とも取れそうな、彰人のからかいをムシして

「咲、食べに行こう。」と連れ出した。