陽翔君には聞こえていなかったみたいで
「結愛~おいてくぞ」
「待って!」
私も陽翔君と向き合おうと思った。
付き合うとかはまだなんとも・・・だけどそれでもちゃんと向かい合うって決めた。
病院帰りがこんなにすっきりして楽しいことはなかったな・・・
「陽翔!ありがとう!」
家に着きそう言った。
「やっとくんを外したか。じゃぁな」
帰る陽翔の背中を見つめ家に入った。
「ただいま!」
「おかえり!」
この日常会話ですら嬉しくなった。
「お母さん!聞いて!今日ね好きな人できたの!」
「まぁ!かっこいい?」
「すっごく!」
お母さんとの恋バナ・・・
憧れてたことが一つ、また一つとできていく。
寝る前、いつものように日記を書いていると
ピコンッ
『早く寝ろよ。おやすみ』
たったこれだけのメールを見て嬉しくなった。
7/18
陽翔君。
私に光をくれたのはあなたです。
初恋のはるくんにまた恋をしたよ。
あのころとは違う君を見て私は気づかなかったけど好きになった。
あれから病院に行くときは陽翔がついてきてくれていた。
今は夏休み!
今日は待ちに待ったプールの日!
ちゃんと伸先生にも許可はもらった。
もちろん泳いじゃだめ。
運動もだめ。
楽しくないかもしれないけどみんなで行きたかった。
それに
「最後かもしれないな・・・ビキニ・・・」
来年生きていても傷のせいでビキニは着れないかもしれない。
死んでたら海すらこれないな・・・
ってだめだめ、楽しむの!
「お母さん!行ってくるね!」
「気を付けるのよ!」
「うん!」
家を出ると
「あんまはしゃぐなよ」
「陽翔!おはよ!」
今日のメンバーは
女の子は私と美月と陽菜、葵!
男の子は陽翔と悠人君、蓮君、湊君!
太一と颯太も誘ったんだけど部活だと断られた。
「現地集合にはしたけどみんな乗せてあげればよかった・・・ね、けんちゃん!」
「そうですね。結愛様はお優しいですね。陽翔様、どうぞおくつろぎください」
「あ、はい。ありがとうございます。」
今運転してくれてるのは斎藤健さん!
藤堂家の運転手の一人!
「結愛、ほんと金持ちよな」
「陽翔もでしょ?(笑)」
「お前ん家には敵わなぇよ。ってか今日は無理すんなよ?」
「わかってるよ!伸先生にも言われたから!」
無理するなは約束の一つだもん。
「7月中は検査、検査で楽しめなかったもん!今日から夏休み満喫するの!」
「結愛様、明日、8月10日は藤堂グループのパティーですよ」
ゲッ。まじか・・・
「それって・・・私も?」
「もちろんです」
「えぇぇぇぇ!やだ!」
「そう言われましても・・・」
「なぁ、結愛。普通喜ぶんじゃね?」
そうだよね・・・
楽しいよ。うん、すごく。
でも
「結婚の申し込みの話ばっかりされるの!」
あそこに行くとかなり面倒だ。
「結愛様到着しました。」
嫌なこと考えてると到着した。
「けんちゃん、また電話するね!」
「かしこまりました。」
「陽翔、行こ!」
「あぁ。ありがとうございました。」
「ね、陽翔。みんなどこかな?」
「あそこ」
指さすほうを見るとすごい手を振ってる人達を見つけた。