たくさんの愛情をくれたのは

『陽翔へ

頑張ってこい!陽翔!(笑)

この手紙読んでるってことは眠ったままだね・・・

それに陽翔はお別れを選んでないってことだよね・・・

好きな人できたらすぐその人のところに行っていいんだからね?

それまで傍にいて?

わがままだけど・・・

陽翔がお医者さんになって私の担当医になってくれたらすぐ目を覚ましちゃうのにな・・・・(笑)

受験頑張れの気持ちを込めてお守り!

頑張れ、陽翔

結愛より』
「お守り、下手だし即興すぎんだろ・・・(笑)」

結愛のくれたお守り・・・

手作り感はあるけど時間なかったんだろうな。

「どこまでいい女なんだよ、結愛」

そう呟いて試験会場へと向かった。

この大学を受けるやつがもう一人いる。

門の前で俺を待ってるやつ。

「おせぇよ、陽翔。」

「わりぃな、太一」
「行こうぜ。絶対合格するぞ。医学部」

「当たり前だ。落ちんなよ?太一」

「お前もな」

太一とは多分一番一緒にいただろう。

この1年間。

同じ夢を持って一緒に勉強してきたやつだ。

「太一。俺首席で卒業すっから」

「フッ。負けねぇよ」
それからはほんとうに勉強勉強の毎日だった。

太一とは毎日一緒だった。

顔だけはいい俺と太一はほぼ毎日女に声を掛けられる。

俺は決まって

「愛してるやついるから。俺はそいつがいれば十分。」

そういって断った。

太一は

「俺彼女いるから」

そう言った。
「太一今日は来るの?山本」

「陽菜?こねぇだろ。多分今日は結愛のところ。美月と葵と行ってるよ。」

「そっか・・・」

太一は山本と付き合い始めた。

山本が好きだったらしい。

それでも幸せそうだ。

たまに思う。彼女に名前を呼ばれるって幸せだなって。

結愛は俺のこといつになったら呼んでくれんだろって・・・

でももうここまで来たら待つよ・・・
大学4年になったころには俺も医学の知識が培われてきた。

「なぁ、太一。俺天才かも」

「あーはいはい。余裕ですねトップは」

今俺は学部トップの成績を収めている。

「結愛の為にって思うと頑張れるんだよね」

「どんだけ結愛大好きなんだよ(笑)もう結愛が眠って5年か・・・」

なげぇな・・・

「もうそんな経つのか・・・」

結愛の笑顔みてぇな。
「五十嵐さんちょっといいですか?」

振り返ると

「君、誰?」

知らない女が立っていた。

「長川莉子です。1年です。五十嵐さんと同じ高校出身です。」

「ふ~ん、で?なに?」

こいつ多分モテるな。

綺麗な顔してる。

でも結愛のが好きだな。
「五十嵐さん、私と付き合ってくれませんか?」

そうくるよな。

「わりぃけど「愛してるやつがいる。ですか?」

なーんだ、じゃぁ、話は早いな。

「そういうこと。じゃ。」

「結愛さんですよね?」

「なんで結愛のこと?」

「有名ですよ。美男美女だったって。でも病気で眠ったままの彼女を待ち続けるかわいそうな彼氏。縛られてるんですよね?」

そう言ったこいつに腹が立った。

「縛られてる?」

俺がそういうと

「はい。私が解放してあげます。私と付き合いましょ?健全な男の人が欲を我慢するのも限界でしょ?私ならいますぐ満足させられますよ?」

そこまで言われて俺は腹が立った。

「ふざ「ふざけんな」

俺が言う前に太一に言われた。

「なんで高原さんが怒るんですか?」

「結愛はこいつを縛ったりしねぇよ。むしろ逆だな。陽翔が結愛を縛ってる」

太一・・・