そういうと陽翔は悲しそうな顔をした。
「でも陽翔の顔みたら元気でたよ」
そう言うと
「結愛、俺もお前に会えて元気出たよ。無理すんなよ?」
無理すんなか・・・
陽翔・・・
「キスして?」
びっくり顔をしていたが
「結愛」
私の名前を呼んでキスをしてくれた。
いつもより少し長めの・・・
このキスが終わったら言わなきゃ。
一つ目のやること。
「は・・・ると・・・好きだよ・・・」
言わなきゃ・・・別れ・・・
「俺も大好きだよ。愛してる。だから別れねぇからな」
「え・・・?なんで・・・」
なんでわかったの?
「泣いてるよ、結愛。」
その時初めて気づいた・・・
「涙・・・?なんで・・・」
泣いていることに。
「結愛からキスしてとかわかりやすすぎ。大丈夫。別れねぇよ」
「うぅぅぅ・・・でも死んじゃうかもよ?私・・・」
「ゆーあ。お前を手術すんのは俺の親父だぞ?」
そっか・・・伸先生・・・
「大丈夫だ。親父はお前を助けるよ。」
「そうだよね・・・私もがんばらなきゃ・・・」
陽翔がいてよかった。
そう思った一日だった。
手術当日。
「結愛、頑張って来い」
「お父さん・・・いってくるね」
必ず・・・
「結愛、お母さんのご飯早く一緒に食べようね」
「お母さん・・・たくさん作ってね」
戻るよ・・・
「結愛・・・オシャレしてお出かけしようね」
「お姉ちゃん・・・服、買いに行こうね」
だから
「結愛。待ってる。」
「陽翔・・・大好きだよ」
待っててほしい・・・
「それでは手術室のほうへ移ります。」
伸先生の一言で動き出した。
「お姉ちゃん。あれ、頼むね。」
「わかってるよ」
その言葉を最後に手術室へ入った。
「結愛ちゃん。私を信じて。必ず生きて人生楽しむんだ。」
「伸先生。陽翔に会いたいから生きるよ、私。陽翔に愛してるって伝えるんだ」
「そうか・・・」
「五十嵐先生。時間です」
「あぁ。それでは藤堂結愛さんの心臓移植手術を始めます」
結愛が手術室に入ってからすぐ結愛のお姉さんから手紙と日記帳を渡された。
「結愛からよ。お友達にも渡してくれるかな?」
結愛の小さい字で
『陽翔へ』
そう書かれた手紙をただただ見つめていた。
俺はそっと頷いた。
あいつらが来たときには結愛の手術は終わってるはずだ。
結愛早く戻って来いよ・・・
お前がいなきゃ俺はやっぱりだめみたいだ。
8時間に及ぶ手術は18時にようやく終了した。
ランプが消え親父がでてきた。
「先生。結愛は?」
結愛の親父さんが聞くと
「手術は成功しました」
俺も結愛の家族もほっとして涙が出た。
「ですが・・・」
親父の子の一言で俺は現実から逃げたくなった。
「いつ目が覚めるかわかりません。」
「それはどういうことですか?」
結愛のお姉さんが冷静に聞いた。
「明日目が覚めるかもしれない。でも来年、5年後10年後・・・このまま目を覚まさないこともあります。」
その言葉で結愛の家族は崩れ落ちた。
俺も動けずにいた。
結愛が目を覚まさないかもしれない?
「親父・・・結愛は・・・生きてんのか?」
「あぁ。自分で生きようとがんばってくれたから」
「そっか・・・結愛は生きてる。よかった・・・俺は結愛が目を覚ますのを待てばまた会えるんだ」
素直にそう思った。
「陽翔君。君はなんてことを言うんだ。家族じゃないからそう言えるんだ。結愛は目を覚まさないかもしれないんだぞ?軽々しく良かったなんていうんじゃない。」
結愛の親父さんはすげぇ怒ってた。
でも
「俺は確かに家族じゃないです。でも結愛は俺の恋人です。俺が愛して結愛も愛してくれてる。俺が生まれて初めて恋をした女の子も俺が生まれて初めて愛した女も結愛だけです。大事な女なんです。だからこそ死んでほしくない。俺は自分が愛した女には生きてほしい。結愛しか愛せないんです。きっと結愛も同じ気持ちです。だからこそ俺は結愛が起きること信じて待ちます。起きたとき笑顔でおはようって言ってやります。」
本心をそのまま口にすることは恥ずかしいと思ってた。
でも今全然恥ずかしくなくてむしろすっきりした。