体験入部2日目が始まった。今日も俺は、世界部に来ている。昨日と変わらず、今日も1年生は俺だけだ。

「グーテンターク!」

笹井先輩は、部室に入りながら言った。笹井先輩は俺を見つめ、柔らかく微笑む。

「……グーテンモルゲン」

石丸先輩は、眠そうな目を擦りながら言った。石丸先輩は俺を見た途端、眠気が急に飛んでいったかのように目を見開き、驚いていた。

驚きすぎでしょ…。

「今日も来てくれたんだよ。えっと、グーテンタークとグーテンモルゲンは、同じドイツ語だよ。グーテンタークは、こんにちは。グーテンモルゲンは、おはようって意味なんだ…眠気が飛んだ颯馬くん。ドイツの首都は?」

「ベルリン!」

石丸先輩の答えに、宮内先輩は「正解!」と微笑んだ。

「……部員が揃ったところで…今日は、『国名しりとり』をしましょう」

「国名しりとり?」

「そう。国名、首都名に限定したしりとりだよ。先に国名を言った場合はその国の首都名を答え、先に首都名を言った場合は国名を答えるんだ。それ以外は、しりとりとルールは一緒。じゃあ、順番は…俺、颯馬くん、綾斗くん、風雅くんで行こうか」

宮内先輩は、微笑んでルールを説明してくれた。

「じゃあ、始めます…さっき、話にあったドイツ!首都はベルリン」

「……ツバル。首都はフナフティ」と石丸先輩が答え、「ル……ルーマニア!首都はブカレスト」と笹井先輩が答え、「アメリカ。首都は…ワシントン?」と俺が答えて1周目。

「カイロ!国はエジプト」と宮内先輩。

「ロ…ロシア、首都はモスクワ」と石丸先輩。

「ア…アルバニア!バルカン半島にある国で首都はティラナ」と笹井先輩。

「ア…ア…え?」

俺が戸惑っていると、宮内先輩は俺に世界地図を渡してくれた。

「それを見ながら答えて。ゆっくりで良いから」