「北欧というのは、ヨーロッパの北にある国のこと。北欧は、税金が高い代わりにそれを福祉のために回しているんだ。大学が無料で入れたり、医療費が無料だったりね。それを高福祉という。デンマークが代表な国だよ」

笹井先輩がそう説明してくれた。笹井先輩を除いた3人は、納得した顔でうなずく(俺は、大体しか理解出来ていないが)。

「ちなみに、デンマークはバンクミケルセンさんの出身国なんだよ~」

「バンクミセルケン?」

「いや、パンクミラレケンじゃね?」

「いやいや、バンクミセラレケンじゃない?」

俺、石丸先輩、宮内先輩の順で言う。宮内先輩が言った時、笹井先輩は吹き出した。大爆笑だ。

「違う。バンクミケルセンだよ…『ノーマライゼーション』って考え方をした人」

笹井先輩は笑いすぎて出てきた涙を拭う。

「…ノーマライゼーションっていうのは、障がいがあっても普通の暮らしをするという考え方のこと」

「なるほど…綾斗くんは福祉コースに入っていたんだっけ?」

宮内先輩は、突然笹井先輩に向かって言った。笹井先輩は「はい」とうなずく。この高校は、2年生から色々なコース(福祉、文系、理系、郷土など沢山のコースがある)に入り、それぞれの授業を受けるのだ。

「…ちなみに、デンマークの首都は?」

「コペンハーゲン!」

笹井先輩と石丸先輩は、同時に言った。このようにして今日の体験入部は終わった。