「あ、コロッセオは円形をした闘技場なんだよ」

笹井先輩は、スマホでコロッセオの写真を見せてくれた。

「……これがコロッセオ…」

俺は、コロッセオの写真を見つめながらぼんやりとしていた。急に意識が飛んだかのような感じで。

「……風雅くん?」

宮内先輩の声で我に返った俺は、宮内先輩に微笑んだ。

「大丈夫?話しかけても反応が無かったんだけど…」

「大丈夫です。ぼんやりしてました」

俺は、笑ってごまかした。何かイタリアについて知っていないか、必死に探す。

「……パスタってイタリア料理じゃありませんでした?」

俺が唯一知っていることを話すと、笹井先輩は「ブラビッシモ!」と微笑んだ。

「あ、ブラビッシモっていうのは…イタリア語で素晴らしいって意味なんだ。そうだよ!パスタはイタリア料理」

石丸先輩がそう言って微笑んだ。俺は、愛想笑いで先輩を見た。

「…颯馬くんは、どこへ行ってみたいの?」

宮内先輩は、石丸先輩を見つめた。石丸先輩は「…迷います」と悩んでいる。

「…僕は、北欧に行ってみたいです。オーロラが見たいから」

石丸先輩がそう答えると、笹井先輩の目が輝いた。

「北欧!?高福祉の国じゃん」

「え?でも、北欧って税金高かったよね?」

「そもそも北欧って何ですか?」

宮内先輩と俺の疑問が部室に響いた。