「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・っ」

肩で息をしながら、夜の道を逃げ惑う一人の少女がいた

誰もいない、切れかかった街頭が僅かに照らす道を、スマホを片手に、一人で走る

辺りには人の気配すらない

それなのに、その少女は汗だくになりながら、『何か』から逃げていた

そう、それはまるで、背後に見えない何かがあって、自分を襲おうと追いかけてきているかのよう

「や・・・・・・だ、来ないで!」

空虚に一人、叫び、そして走る

走る

走る

走る







そしていつしか、この逃亡は幕を下ろした



全てを見守っていた、点滅を繰り返す街頭の光が、路傍に飛び散る鮮血を映す



電源のついたスマホの画面には、「暗殺されました」の文字が、静かにそこに、表示されていた─────