「ありがとうございましたー!」
ふぅ~。
お客様が帰られ一息着く頃には上がりの時間になっていた。
「望花ちゃん、お疲れ様ー!今日はここまでにしようか!」
「あ、はーい!」
「とりあえず次のシフトとかも決めたいから、着替えたらバックヤードで待ってて!」
「分かりました。お先ですー。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
つ、疲れた~。。
初めてのバイト、しかも立ちっぱなしは今まであまりないので足に来てしまった。
さっと着替えてバックヤードにある椅子に腰を掛けた。
「んー疲れたけど、楽しかったー」
「すっげぇ駄々漏れ。。」
「!?」
き、聞かれた!?
目線の先には呆れ顔の目付きの悪い男が立っていた。
「た、田中さん。あーいや、ちょっと今のは聞かなかったことに。。」
恥ずかしさで祈願をしたが駄目だった。
「まぁ、接客はど素人だったけど、受け答えはバッチリだったよな。」
「え?」
「珈琲の種類も分かってるし、豆の説明も俺らが口出す前にちゃんと言えてたしな。」
ほ、誉めてるのか?これは。。
「あ、ありがとうござー」
「でも、マジで接客はダメダメだったからプラマイゼロだな。次はもっと落ち着いて接客しろよ。じゃあお疲れ。」
「あ、お疲れ様ーです。」
「誉められたかと思えばダメだし、なんか悔しい!!なんなのさー」
「あーそうそう」
びくっ!今の聞かれた?
「・・・俺の呼び名、隼人で良いから。皆そうだから呼び慣れてる。あと、愚痴はもう少し小さい声で言えよな。」
「は、はい。。」
完全に聞こえてた。
それからオーナーが来て、次のシフトを決めた。
慣れるまでは2~3時間、二日に一回ぐらいのタイミングで入ることになった。
また土日祝日は少し長めのお昼~夕方まで、慣れてきたら開店準備も兼ねてもう少し時間を延ばすことに決めた。
ちなみに今のお店の勤務体制を軽く教えてくれた。
開店時間 11時~20時
平日11時~20時
一樹、隼人、美桜(大学ない日)
※朝から働いたら、2時間どこかで休憩入る(これは土日祝日も同じ)
平日15時~20時(早かったり、遅かったりまちまち)
残りの学生組入る
土日祝日
誰でも
主な体制
・キッチンorホール(どっちも出来る)
一樹、美桜
・キッチン
隼人(人が少ないとホールもやるが主はキッチン)
・ホール
里桜、光(少しずつキッチンも覚え中)、望花
「ーとまぁこんな感じかな?分かったかな?」
「はい!あの、私なるべく早く業務覚えますので、これからもよろしくお願いします!」
改めて頭を下げた。
これからどんなことが待っているか、今の私はまだ何も知らない。
ーチュンチュンー
「ん?うーん。。よく寝た~」
皆さん、おはようございます。望花です!
今日は良い天気、労働した次の日の朝はより気持ちの良いーいたたた。。
朝なんですが足が軽く筋肉痛です(泣)
うーん、こんなはずじゃないのに。
「望花~朝ご飯早く食べなさいー!」
「あ、はーい!」
階段下からお母さんの声が聞こえた。
制服へと着替えて下に降りるとふわりと珈琲の良い香りが広がった。
「わぁ良い香り♪」
「おはよう望花、今日はブルーマウンテンよ」
「おー良いね!あ、しかもハニトーだ!」
「ふふ、パパがね疲れてるからハチミツ食べたいって言うから朝から張りきっちゃった!」
「いただきます!ん、んー美味しい♪」
「昨日は死んだように寝てたけど、バイトは大変?」
「んーバイトじたいは楽しいよ!なんと言ってもカフェだしね!・・・でも立ち仕事だからちょっと足が。。」
「なるほどね。でもまぁ、すぐに筋肉痛が来るのは若い証拠よ!頑張って!」
「うん、頑張るよー!」
「今日もバイトあるの?」
「今日は休み!明日からは飛び飛びであったりなかったりだから、LINEとかで連絡するね!」
「分かったわ。あ、そろそろ時間大丈夫?」
「あ、学校行くね~行ってきます!」
学校までは歩いて15分、所々に桜が咲いている道を歩く。
学校も友達が出来て、放課後は遊んだり、大好きなバイト♡うん、高校生活なかなか充実してるな~♪
「あれ~望花!?」
「ん?」
最近聞いた声を振り替えるとそこには昨日バイト先にいた男の子。。
「え、あー光・・くん?」
「そうそう、昨日のバイト先の!てか望花もここの高校だったんだな、びっくりだぜ!」
「本当だね~そういえば光くんはバイト歴長いんだよね?」
「長いって言ってもバイトは今年からよ?ずっと手伝いしてて、ほら里桜と同じ、無給でお手伝い程度って感じ。」
「へぇ~でも里桜ちゃんもすごく仕事出来るるし、やっぱりすごいよ!」
「そう言われると照れるなー////」
「・・・で?美桜さんのどこが好きなの?やっぱり綺麗なところ?」
「なっーちょっと望花、朝からからかうなよ~!!」
偶然の出会いにびっくりするも、また学校に友達が出来て嬉しい気持ちになった。
そして今日偶然の出会いが、もう一度訪れるとはこの時には思わなかった。。
放課後、今日はバイトが休みの日。
今日は一人でカフェ巡りをする日と朝から決めていたので、学校が終わると早速街に繰り出しました。
「さて、どこから攻めようかな♪」
流行りのカフェに行くか、古風な喫茶店から行くかーあ、先に道具巡りしようかな?
この間、ちらっとみたお店のティーカップが可愛かったな~
そんなことを思いながら前を見ると、ウィンドウズ前に見慣れた後ろ姿があった。
あれってー隼人さん?
真剣に見ていているようでこちらには気が付いていなそう。。
どうしよう、声かけた方がーでも真剣そうだし、朝の光くんみたいに気軽に話せなそうだしな。
・・・よし!気が付かなかったふりをしよう!
そう決めて背を向けた時ー
「何で逃げるんだよ!」
「うっ」
怒りの声がして、振り向くと仏頂面の隼人さんが立っていた。
「あーえっとーぐ、偶然ですね~何してるんですかこんなところで!?」
「・・・それはこっちの台詞。ここに全部写ってたし。」
隼人さんが指したのはウィンドウズ。
あ、こっちから見えてたように向こうからも見えてた?
「いや、隼人さん真剣そうだったので、声かけちゃ悪いかと。あ、ちなみに私はカフェ巡りとかティーカップとか見に街にーって興味ないですよね!」
最後の方は早口で話を終了させようと思ったとき、隼人さんがウィンドウズのガラスをコツコツさせた。
「・・・?」
「これ。こうゆうの見に来たんじゃないのか?」
ガラスに近づき覗くと
「わぁー綺麗。」
飾られていたのはアンティークなティーカップやスプーン、お皿だった。
「この形、模様、美味しそうな紅茶とケーキが目に浮かぶ~。あーこっちのティーカップも素敵!!」
あ・・・
ハッと横を見ると何やら笑いを堪えている隼人さんの姿が。
「あの、なにか?」
「いや、なんというか。本当に望花お前、好きなんだなって思って。」