そう思った途端に、メールの着信音がわたしの携帯から流れた。


携帯を取り出し、メールボックスを確認してみると送信したのはお母さんのようだった。



『沙織、大丈夫?
お友達が疲れたりしないように、早く帰って来なさい』



そういえば、桜花ちゃんは体調を崩して学校を休んでいるので、わたしはお見舞いに行くとお母さんに伝えたんだった。


全然そのことに気を求めずに、クッキーを食べたり飴を舐めたりしながら話をしちゃっていたな。


……まあ、かと言って無駄話っていうのでもないけれど。



「ごめん、桜花ちゃん。実はお母さんには、桜花ちゃんが具合悪いって言っちゃったから。それで早く帰ってくるようにって言われちゃった……」



わたしは、そう言いながら立ち上がった。



「ううん、大丈夫! 仕方ないよ、わたしが熱ないのに休んじゃってるからさ」



なんでもないという感じの笑顔で、桜花ちゃんは答える。



「うん、ありがとう」



「そっか。じゃあ、あたしも帰るよ、桜花。また来るから」



知世ちゃんも、立ち上がりながらそう言う。



「じゃあね、2人とも」



わたしと知世ちゃんは玄関で靴を履いて、外に出た。