知世ちゃんと話を終えて、わたしは教室の方へ足を進めた。教室の窓からは、奈緒と美咲が覗いてきているのが見えて、わたしは入って2人の方へ行った。



「沙織、ちょっと見てたんだけど。あの子って、栗原さんといつも一緒にいる子じゃない?」



奈緒が不思議そうに聞いてきた。まあ確かに、わたしは桜花ちゃんとは何回も話しているけれど知世ちゃんと話したのは今が始めてだったからね。



「うん、そう。桜花ちゃんを守るために、協力してほしいって」



協力してほしいと言っても何をすればいいのか、など具体的なことはわたしも分からない。それに加えて奈緒と美咲はもっと分からないので、2人とも顔を見合わせた。



「桜花ちゃんは元カレと再会してから、一度も学校に来てないみたいで」



「まあね、そうだろうと思ったよ。いつも廊下で『栗原さん、栗原さん!』ってうるさいほど聞こえていた男子達の声もしなくなったし」



「確かにねー。栗原さんがいるのに、いきなりそういうのがなくなるなんて、ちょっと考えられないよ」



わたしの話を聞いて、2人は顔を見合わせたまま、話している。


2人とも、桜花ちゃんが学校にいないことに気づいてはいたのか。まあ、そりゃあ彼女が学校を休んで1週間も経っているから全く気づかないことはないだろう。



「まあ、何かあったら相談してね?」



美咲が心配そうに眉間にしわを寄せて、わたしにそう言ってくれた。