悪魔のKiss


私は手に持っていたものをとっさにゴミ箱へと投げ捨てる。

その間、わずかな時間。

たったそれだけなのに私は願っている。
目の前にいるこの人が振り向かないで私を見ていること。
私は私のためこの人に何をすれば振り向かずにこの場をしのげるのだろう。
必死に考えた答えはこれしかない。

私はふいに彼の頬にキスをする。
私の両目にはゴミ箱の中へ消えゆく親友から彼へのラブレターが映っていた。