「すまない。年若い令嬢に随分とはっきり現状を説明してしまった。それで君が傷付くも分かっていたはずなのに。何処かで君なら冷静に受け止めて理解してくれると思っていたんだな。本当に申し訳ない」

「いえ……。大丈夫ですとは流石に言えませんが、仰られた事が現状なのは分かっていますから」

そう、分かっている。実家にずっと住むのが難しい事も、女性が職を得ても一人で暮らしていく事が本当はいかに難しいかも。

でも道はあると思いたかったのだ。辛い現実を打ち破って幸せになれる方法があると思いたかったのだ。
お伽話のお姫様みたいに誰かが助けてくれるのをひたすら待つなんて耐えられなかったのだ。

「だって、私は誰かのお姫様にはなれないから……」

「え?」

「いえ、なんでもありません」