私の1メートル先までやってくると

彼はポケットに手を突っ込み、携帯を取り出した


ふとその携帯を見て、目を見開く

え、これ

「私の・・・」


水色のシンプルなカバーケースに自分の物だと確信する

なんで・・・

携帯から彼に視線を戻すと、まだにこやかに笑って私を見ていて


「うん、一ノ瀬さんのだよね?昼に落として行ったみたいだよ」


はい、と私に携帯を差し出し、私も「ありがとう」と伝えて受け取る


そっか食堂に来た時に落としたんだ
全然気付かなかった

よかった見つかって


携帯を渡した後

彼は思い返したように申し訳なさそうな表情で話した

「それより、今日はごめんね?あの子達が失礼な態度とっちゃって」

・・・あの子達?

あぁ、あの女集団のことか
といってもあの女の子1人だけどね