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琢磨と、別れたあと…

実咲は、ホテルの朝食ブッフェが開かれている会場に来ていた…


朝食を1人で食べながら…焼きたてのトーストやスクランブルエッグ…サラダなどを口にしながら…も、実咲は思わず…重いため息をついた…


「……っ」
《昨夜…、

あたし、漆原くんと…。。


これから、どう…接していいのか…っ?


普通…に、接したいのに。。》


と。。

実咲は、いまだに昨夜の妄想の中。。

1人で、モンモン…としていた。


何度目か…の、ため息をした時…テーブルの上に、ブッフェで取り分けたサラダやトーストを乗せたお皿が見えた…

「おはようございます。」

その、女性の声…。。

その声に、実咲は、そっと視線を上げる…

知り合いなのだろうか?…色の白い陶器のようなきめ細かい肌に、背中までの漆黒の真っ直ぐな髪に、ターコイズ色のワンピースを身につけている…20代前半くらいの女性。。モデルか芸能人かと思えてしまうような容姿をしている…

「今日は、漆原さんとお泊まりだったのですね?」

その、彼女の言葉に、実咲は、【彼の知り合いか。。】と、昨夜のパーティで挨拶を交わした人だったのかも?…と。。

「えぇ、朝からクライアントが近くまで来ている…と。
もうじき、戻って来る…とは、思いますけど」

と、実咲は昨夜同様…営業スマイルを見せた…

「……っ」
《こんな美人とも、知り合いなんて…っ》


「そうなんですね?
ご一緒してもよろしいですか?」

そぅ、にこやかな笑顔を実咲に見せた彼女は、そう言った…

「どうぞ。」

「ありがとうございます! 昨夜は、奥さまと余り話せなかったから…話してみたいと思っていたんです」

先ほどから、変わらない笑顔を見せる…まるで、天使のような可愛いらしい笑顔…

「えぇ。えっと…、ごめんなさい…昨夜は、初対面の方がたくさんいて…お名前は?」

「あ、そうですよね? 失礼致しました。
私、槙村 凪子と言います。父が漆原さんに顧問弁護士をお願いしていて…」

その名に、実咲は、聞き覚えがあった…

昨夜、琢磨を【婿に迎えたかった】…と、言っていた中年男性の後ろにいた女性…

「……っ」
《ん~と。。

その、彼女があたしに何か用があるのだろうか…?》

思わず…、苦笑いを浮かべる実咲に…


「私、漆原さんの奥さまとお友達になりたくて…」

…と、これまた…天使のような笑顔を見せる凪子…

「漆原さんのこと、尊敬してるんです。
彼の奥さまになれる方ですもの…、きっと、素晴らしい方に違いない!…って」

「……っ」
《え~…と。。

何か、勘違いをしているのかな? この人…っ


そんな素晴らしい方か? あの彼が…っ?》


凪子の言葉に、つられて…笑顔を浮かべる実咲…

が、その凪子の口ぶりから…何か、引っかかった…【彼女は、もしかしたら…】。。


「私、好きだったんです。
漆原さんのこと…、でも…結婚してしまって…」

そぅ…、その言葉を紡ぐ…

凪子の言葉は、少しずつ…小さくなる…。。

その瞳から、涙の粒がポロポロと溢れ出す…


「…凪子さん…っ!」
《やっぱり~。。!


そういう展開かと思ったゎ…っ!》


実咲は、即座に席を立ち、凪子の傍に駆け寄る…

持っていたハンドタオルを手渡し…

「凪子さん、あの…っ」
《こんな可愛い子を、騙すことなんて出来ない…っ!》

実咲が、何かを言いかけた瞬間…、凪子は、ハンドタオルを差し出した実咲の手を掴み…、実咲の方に視線を送る…