「実咲…、なに、隠れてる?」

そぅ…、耳元で聞こえた声に…、ビクっと肩が跳ね上がった…

その声がした方に視線を向ける…。。視線だけ、琢磨の方に向け、その下はシーツで隠した…

「だって…」
《ハダカで、出歩かないで…っ!

恥ずかしすぎる…っ!》

その反応に、吹き出しそうになりながら…そのシーツの上から、実咲の身体を抱きしめ…その耳元に…

「なに? もぅ1回する?」

その耳元に届いた言葉に…、昨夜の行為が脳裏を駆け巡った…

「え? やっ! しないから…っ!」

「じゃ、一緒に入る? どっち?」

「…【どっち】って…?」
《両方、イヤなんだけど…っ!》

琢磨は、動揺を隠せずにいる実咲に、なおも…

「どっちか…、選べ…。
【どっちも嫌】…は、通用しないから…」

「…う……っ!」
《…どっちも…、イヤー!》

その、瞳に射すくめられるようだ…。。まるで、その瞳から目をそらすことが出来ない…


「さ、どっち?」

まるで…、試すような口ぶり…

琢磨は、実咲の頬に触れ…微笑んでみせる。。が、その瞳には冷ややかさを感じた…

「…まだ…、シャワーの方が…っ」
《これじゃ…、

あたしがどっちを選んでも…

やられる…っ!》


その、実咲の応え…に、琢磨は笑いかけ…た。。その瞬間…

琢磨のスマホが鳴り響いた…

琢磨は、深いため息をつき…、そのスマホをスライドさせ…

「はい。漆原です」

その、口調から…。。実咲は、《仕事の用かな?》と、察した…

思わず、胸をなで下ろした…

「……っ」
《仕事の用が入ったのなら…、

バスルームで、なにかする…なんて、余裕はないはず…》


「はい、分かりました。30分ほど時間を頂ければ…」

と、仕事モードに入った琢磨は、そぅ言うと…スマホを切り。。実咲の方に振り返る…

「仕事、入ったー。。クライアントが、近くまで来てるって…。今日、事務所行ってからの面会だったのに…
俺、このまま支度して…仕事行くけど…」

「あ、そうなんだ。大変! 急いで、支度しなきゃ…」
《良かった! 助かったー…っ!》

と、琢磨に残念そうに…見せるように演技をした実咲だったが。。

「お前、なんか…嬉しそう…」

その、琢磨の言葉に…心臓がドキッとした…

「っや! そんなこと…っ」

「ふぅん。ま…、いいけどさ。先にシャワー浴びる…」

そう、実咲の方を軽く睨みつけながら言った琢磨は、そのままバスルームに入って行く…

その気配を感じながら…、実咲は安心したように安堵のため息をついた…

「……っ」
《…良かった…っ。》


実咲は、まだ余韻の残る…自分の肩先や胸元を、もう片方の手で触れる…

その、肌に残る余韻と共に…昨夜の記憶が脳裏を掠める…

「……っ」
《…なんか…、気持ち良かった…

修ちゃんの時だって…、あんな風にはならなかったのに…。。

なんで…?》

それまで、一緒に暮らしていた彼とは、別れる1年以上前から…身体の関係はなかった…

【仕事が忙しい】…と、言う彼の言葉を、最後まで信じていた…


初めての相手だったから…、身体の痛みが続くのは、仕方ないこと…と。。

いつかは、友人や女性誌に載っているような関係になる…と、思っていた…

実咲の身体を気遣うことなく…欲求を満たそうとする…。。1度、拒んだ…ら、それ以降…求めては来なくなった…

それから、その相手が他の女性が出来ただけ…のこと。。

それだけ…


「……っ」
《まさか…、あんなに…っ!》


昨夜のこと…に、頬を紅潮させる実咲…

「実咲…。」

その、またも…耳元に届いた声…

琢磨の声に、振り返る…と同時に、その唇を塞がれ…舌先が滑り込んできた…。。ゾクゾク…するような感覚に襲われる…

「…ん。。ちょ…っ! 支度しなきゃ…」

やっと、唇を解放され…それだけ言うと…

「なに、赤くなってるの? よからぬ妄想?」

「…も、【妄想】? そんなこと!」

バスタオル1枚…腰の辺りで巻き付けた琢磨は、実咲の身体を抱きしめ…

「お前も、したいんだろ?」

その、琢磨の言葉に…思わず、【うん】…と、頷きかけた時…

「…う…、ううん! そんなこと…!」

両手で、その身体を押しのける…が、力で適うはずもない。。

きゅ…っと、抱きしめられる…。。言葉にしなくても…その想いが伝わってしまうのではないか…と、思ってしまいそぅだった…